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地域医療研修医のための脳外科病棟カンファレンス8回目,2018年10月2日

DarkoStojanovic / Pixabay

2018年10月2日
10月は研修医が1名です.なんとか時間通り火曜日の16時半からできた.
2回目出した症例もあるし,全部で何例目かわからなくなるので,
疾患としても同じ疾患で別の患者さんもいるので,
通算番号は中止に.

今日の症例1
80才代慢性硬膜下血腫  症状増悪

自分で受診.3日前には車で軽度の自損事故をしている.
左手で茶碗が落ちる.そういうヒトは慢性硬膜下血腫でたくさん来る.
CTでは右の大量の慢性硬膜下血腫.
夕方17時25分に受診.
検査をして,18時には病棟に入院.
19時には,左手も挙がらず会話もできなくなった.
19時半には,局麻で穿頭洗浄術.
翌日の朝には,左手も普通に動き,会話も普通にできた.
しかし,受診したことは覚えているがその後のことは一切覚えていない.

ここでのポイント:慢性硬膜下血腫は徐々にたまり,ギリギリまで症状をださない.
一度,症状が出だすと急激に増悪する.
手術を緊急でするかどうかの基準は,「症状が出たらする」である.
CTで大量に見えても,症状が出ていなければ手術は待てる.
しかし,いったん症状が出だすと急激に増悪する.
今までも,翌日に予定していた症例では
瞳孔が散大して昏睡になったり,
これだけ大量にたまっていたら危険と説明したが,
「元気だから良いです」と答えた患者さんは,
1週間後にけいれん重積で救急搬送されてきて,
両側の手術をしても,1週間は重積状態が続いた.
ということで,
症状が少しでも出だしたら,手術を躊躇すること無く急いですること.

本日症例2 70才代 TIAからの完全麻痺

10分程度の右上下肢麻痺,後は全く正常.朝8時過ぎに受診.
一般的なTIAの説明は,小さな血栓ができて症状が出る.
それがすぐ溶けて,症状が完全に元に戻るというもの.
MRI画像では,全く脳梗塞が認められないものから,数mmの梗塞ができているものまで
実際はバリエーションが多い.
この症例は画像が特徴的.
MRIでは脳梗塞は全くなし.
MRAは,ややというかTIAで予想するレベルを超えて異常.
左総頚動脈が途中で閉塞,外頚動脈も写っていない.
しかも細い.長年の変化に見える.
さらに頭蓋内の途中から左内頚動脈がうっすら描出されている.
今までにTIAの症状は一度も出たことがないとのこと.
念のために入院,点滴をしていたが,夕方に右麻痺が出現.
抗血小板剤,抗凝固剤を両方したが症状は改善せず.
翌日のMRAでは,左MCAの穿通枝領域の広範囲の梗塞が出現.
さらにフォローアップMRI では,左脳表の梗塞も出現.
最初から,右側内頚動脈も狭窄は結構ある.
なにか血管全体への危険因子があるのか??
課題は,1)危険因子は何なのか? で,採血では全くDM, 高脂血症などなし.
喫煙歴もなし.血圧も正常.両親が脳梗塞になったらしいが,90才を超えてとのことで,
家族歴もなし.
抗リン脂質抗体陽性なのか?
それでも,予防法は抗血小板剤などの内服ぐらいしかないが.
本人の兄弟姉妹には症状が出ているヒトは無い.
詳しく聞いてみると,外での仕事で脱水にはなりやすい.
唯一の危険因子は生活環境ぐらい.
後は,「全く非婚の男性の一人暮らし」が最近注目されている危険因子.
課題の2番目は,症状が出だしたときは入院している.
tPAの適応があったかどうか.
そもそも,脳塞栓で心臓から血栓が流れてきて,大きな血管を閉塞させた病態ではない.
詰まりかけていた部分が,最終的に詰まったということになるが,
血栓がその場でさらに出来て,血行動態的な脳梗塞になったものと解釈できる.
それなら,頭蓋内でのA to Aの脳塞栓とも解釈できる.
自分としては,右完全麻痺と失語が永続的に残るならやるべきであると
結論できる.
再発予防はどうするか?
外科的に出来ることは無いと判断.
外頚-内頚動脈の吻合術も,そもそも外頚動脈がない.STA自体がない.
MCAもほとんど見えない.
CASやCEAの適応ではない.そもそも総頚動脈分岐部の手前で閉塞している.
なかなか大変な病態でした.

本日症例3  40才代 特発性脳脊髄液減少症

治療法についての説明.透視下で行った後だったので,別のことを記載.
硬膜外自己血注入の目的は,髄液の漏れている部分を「血糊」で固めること.
どこに血液が注入されたかを確認するために,
自分は「血液 15 ml+造影剤5ml」の液体を,透視下で注入して,
終了後にCTを撮れば,「硬膜外造影」となっており,
注入の範囲,上下と左右の広がりがわかる.
マニアックな問題点は,硬膜外針は18ゲージ以上の太い物が良い.
しかし18ゲージの針でもそれを通して挿入する硬膜外チューブは,
内径0.8 mmしかない.なかなか,血液注入するにも力がいる.
2カ所から漏れている場合,一カ所は硬膜外針刺入部位からできる.
チューブを入れていってもう一カ所からもできる.
問題は,漏出部位が離れた場所にある場合.
一回でやろうとせずに,2回にわける戦略も必要.

非常にマニアックな部分であるが,実際に研修医の先生に説明したのは,
もっと基本的な,「典型的な症状」と「典型的な造影MRI画像」と
「典型的な治療方法」と「一般的な予後」でした.

 

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