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研修医のための脳外科カンファ 52回目 2019年10月29日 2週分まとめて

DarkoStojanovic / Pixabay

予定の火曜日,木曜日が研修医が他の用時がはいり,29日(火曜日)に2回分纏めて行った.10月末で今月の研修医は終わり
合計8例? しゃべりすぎてやや混乱したけれど抜粋して記載.

症例1)70才代 tPA の1例 後大脳動脈 Af  内頚動脈狭窄

テーマはDAPT, TAPTそれにSAPT
dual antiplatelet therapy  (DAPT)の意味は2剤の抗血小板剤を使う意味.
今回のケースはある意味複雑.
前回は右のラクナ梗塞で入院.
頚部血管エコーでは左頚動脈分岐部の著明な狭窄.
ラクナ梗塞再発予防には抗血小板剤1剤でも良いか.
問題はAfもあったこと.
ということで退院の時は2剤の抗血小板剤に1剤のDOACという重装備で退院.
その後1年以上,全く症状なし.
DOACをいったん中止にした.
その後,半年後に一側の後大脳動脈の塞栓になった.
tPAを使用して一部はきれいに再開通,一部は漏出性出血.
要は,塞栓になったことは間違いないが心原性だったのか動脈源性だったのか不明.
経胸壁心エコーでは血栓(-),経食道エコーはせず.
一般的には,経食道エコーのほうが3倍血栓の発見率は高い.
前回の梗塞とは別の分類に属する梗塞になった1例.
DAPT+DOACが正解なのか.
SAPT:single(1剤)の抗血小板剤+DOACが正解なのかという症例.

2)60才代 経時的両側後大脳動脈塞栓

前回は右の後大脳動脈の塞栓.
9ヶ月後に今回は左の後大脳動脈塞栓.
すでにSAPT+DOACの組み合わせを内服している.
肥大型心筋症にAfなど心臓疾患もあれば,そこまで内服するのもわかる.
一側の椎骨動脈は元々低形成.しかし脳底動脈は立派.
開存している一側の椎骨動脈起始部の狭窄があれば,そこから血栓が飛んでくる.
両側同名半盲になれば,皮質盲になっていまう.
今回は一部が再開通して完全盲は免れた.
これには,DAPTで今後は対応していく.それでも血栓が飛んでくると
ADLが落ちてしまう.

3)80才代 多発脳梗塞 造影の有無

本症例は3週間以降に造影されだした.
これはfogging effectと呼ばれる時期に近い.
しかし,これは以前に提示.
1か月後には,段々造影される範囲が広くなっていました.

4)80才代 嚢胞性転移性腫瘍.サイバーナイフで消失

3.5 cm台の嚢胞性転移性脳腫瘍.壁部分に造影される部分がある.
原発は肺扁平上皮癌.化学療法の途中.
液体を抜くためにOmmaya’s reservoirを留置.そしてサイバーナイフ照射.サイバーナイフのある病院でしてもらった.
帰院してきて,チューブが深いのでリザーバーから15 ml程度液体を抜いて,脳室壁に達するようなら2 cm程度引き抜く予定とした.いつものことだが,液体は出血して少し経過した濃い赤ワインに黄色みを加えたような液体.出血を繰り返して,さらに腫瘍細胞から分泌液がでて貯留したもの.しかし今までも経験したが,内部の液体を抜いても翌日のCTでは嚢胞の大きさは全く変わらなかった.
ところが,一ヶ月後のCTでは液体が消えて嚢胞成分が完全に消失.
いままでにも経験したが,嚢胞性腫瘍にサイバーナイフを当てると1-3ヶ月で液体成分が消えることがある.チューブを2 cm短くしておけばよかった.要は,腫瘍細胞が易出血性でそれで液体がたまっていたのが,腫瘍細胞が増殖が止まった,あるいは,壊死に陥って活動が停止したので,液体も吸収されて急激に病変の大きさは無くなったと言う経過.
時にみる.

5)70歳代 急性硬膜下血腫 仮性球麻痺で肺炎

これは,研修医向きの症例.
40年以上前に左脳出血で開頭血腫除去術受けている.右上下肢は筋萎縮著明.屈曲拘縮状態.右麻痺のためか,今回は転倒して右の急性硬膜下血腫となった.
左上下肢麻痺だけでなく,仮性球麻痺になった.
仮性球麻痺の「球」はどこの意味か知らないヒトが多い.
「球」は「延髄」の意味です.
延髄障害で「嚥下困難」から「誤嚥」になる.
「仮性」の意味は,両側の基底核障害,脳出血,脳梗塞,脳挫傷などでも起きる.
大脳皮質からの「前頭橋線維」と橋からの「橋延髄線維」の2段の線維連絡がある.さらに皮質脊髄路がある.これは皮質から延髄を通過して行く神経線維である.
この系列が途中で障害を受けると,どうなるか.嚥下,発声の筋肉は一側が麻痺しても,対側だけでなんとかなる.それが両側に障害が及ぶと,10×10=100%機能なしになってしまう.
両側片麻痺で四肢麻痺の寝たきり,両側同名半盲で完全盲で視野ゼロになるのと同じぐらい致命的なことが起きる.大抵はその中間の状態である.
この知識を持っていないと,対応や説明が的外れになる.延髄から嚥下機能のある器官に行く線維があるが,延髄障害なら誤嚥もわかる.
それと同じことが両側大脳障害でも起きると言うこと.
「仮性球麻痺」はオリジナルの「球麻痺」よりもずっと実数は多い.
経過はなかなか大変.

6)70歳代 内頚動脈塞栓 血栓回収術出来ず

最近のトレンドの一つにtPAを行う,あるいは行わずにとにかくMT(Mechanical thrombectomy)を行う治療法がある.
tPAだけでは開存しない.大きな血栓なら回収したほうが早いという考え方に基づく.機械的血栓回収療法と言われるもの.
運ばれて来た時に,内頚動脈起始部で閉塞.すでに中大脳動脈,前大脳動脈の広範囲にdiffusion画像でかなりhighに写っている.時間は4.5時間も経過はしていない.しかし症状,画像ともに強すぎる.血栓回収可能な病院に転送したが,「ASPECTでも点数が低すぎる.」適応は無いとの判断.
3日目に永眠した.
ところで,広範囲の梗塞が起きた場合,右側梗塞なら,発症当日なら会話もしている.そこで年齢,状態を考慮して広範囲の外減圧,可能なら内減圧も追加して救命するかどうか.高齢なら保存的加
これは途中.

 

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