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地域医療研修医のための脳外科病棟カンファレンス 11回目,2018年10月30日

DarkoStojanovic / Pixabay

毎週,毎週,これだけはなんとか続けています.
初期研修医への知識,情報の提供の困難さがよくわかる.
まあ,専門医どおしの「豊富な知識と経験の上に構築された討論」とは
全く別物.
まあ,自分から「初期研修医の1-2ヶ月の地域医療の研修」「総合診療科の半年コース」
「地域枠の1年コース」などの医師に脳外科の知識,情報を提供したら
だれか,一人は脳外科に興味を持って,
遠い将来脳外科医師になる医師がいるかもと夢想した.

しかし,「毎日,自分が考えて行動している,もとになる知識の量と内容」と
「2年目の初期研修医が思っている医療行為,特に脳外科関係の単語」の意味が
異なっているとわかった.
要は「そんなものがある」という「単語」をしっているレベルと
「その手技を行ってきて,メリット,デメリット,
手技の限界などを痛い目にあいながらやってきた」レベルは,
ある意味,昔ながらの言葉を思い出させる.

百聞は,一見に如かず.
百見は,一行に如かず.
百行は,一果に如かず.

自分は成果,結果を出すまでのレベルに到達した.
10年ぐらい前から数年前に到達した.
それまでの苦しかった時代を忘れることはない.
初期研修医は,百聞のレベルにも到達していない.
もちろん,自分も初期研修医の頃は,ある手技を聞いても,
道具を聞いても,それがどれぐらいの効果があって,
器具がどの程度の価格のものなのかなど
全く気にもしなかったし,理解の限界を超えていた.
まあ,30年以上前の自分の知識レベルと態度はひどいものだったと
再認識させてもらっている.
今の自分のしないといけないこと.

きまじめに,丁寧に初期研修医に技術を見せて説明すること.
まあ,初心を忘れないためにも,続けるつもり.

本日の症例1 90才代 左傍矢状洞部髄膜腫

90才代で見つかる髄膜腫の方も存在する.
2年前は別のことで,偶然見つかった.
最近,足が動きにくいと来院,
2年間全く情報なし.
今回と比べると,前後径で,2 cmはおおきくなっている.
そもそもの形が,プラーク型で骨にも浸潤.
今回は頭皮まで膨隆している.

年齢を考慮すると,どうするか.
腹臥位で摘出術は,危険.
上矢状洞の処置など,年齢を考慮すると大変.
研修医は「塞栓術は?」と聞く.
髄膜腫の塞栓術は,治療にはならない.
手術の際の出血量をへらしたり,
確かに一部が3日目には壊死になって,柔らかく切除しやすい.
だからと言って,すべての栄養動脈を閉塞させて,髄膜腫が大きくなるを防ぐことなど
まあ,脳外科の専門医になれば,全く考えもしない.
「2年目の初期研修医」にとっては,
「塞栓術」という言葉の概念的な理解のみであろう.
今まで,専門医とばかり,検討会をしていた自分としては,
実物とかけはなれた一般的な理解とはどんなものか,よくわかった.

自分はサイバーナイフに相談した.
まあ,脳浮腫も強くなっている.
問題は,サイバーナイフは2泊3日で済むが,
腫瘍細胞が死ぬとき,膨化する.
壊死でも容積は大きくなる.
3か月,半年と抗痙攣剤に加えて,ステロイドが必要かなどであろう.

初めての症例.高齢で,プラーク型で浸潤が骨だけでなく皮下まで.
高齢化の波は,病気にも確実に訪れている.

本日の症例2 60才代 自覚症状のない脳塞栓

遠くの病院で,慢性硬膜下血腫をオペをおえて,
後のフォローアップ依頼で紹介され,受診.
経時的にCTを撮って卒業の心づもり.
普通に3週間後のフォローアップでCTを撮ると,脳塞栓になっている.
ほとんど症状はない.
採血でも危険因子はほぼなし.
高血圧,糖尿病,脂質異常症など無し.
心房細動もない.心房内血栓もない.
何なのか??
答えは,タバコ,お酒と判明.
頚部血管もエコーで,凸凹.

まあ,危険因子をなるべく遠ざけて,抗凝固剤を開始.

慢性硬膜下血腫のフォローアップCTで
新鮮な脳塞栓が見つかったのは初めて.

 

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