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地域医療研修医のための脳外科病棟カンファ13回目,2018年11月14日

DarkoStojanovic / Pixabay

どういう形が良いか検討中.
11月13日(火曜日)は急に夕方に忙しくなったので,延期.
14日に変更.

本日の症例1.40才代 Fisher症候群

風邪?症状を3日前あたりに起こした.
その後,ものが見えにくい.構音障害,手のしびれで独歩受診.
そのときは,眼球運動もほぼ正常.
脳MRIも正常.脳梗塞もなし.
いったん,帰宅.
その2日後にさらに複視が増悪,構音障害,歩行の不安定症状が進行して受診.
脳炎? 脳梗塞が完成?
脳MRIで,diffusion 3方向撮っても,脳幹梗塞もなし.
MSなら画像にでるだろうし何なのか?
まあ,腰椎穿刺をしてみるのも大事.
というところで,fisher 症候群も鑑別診断には入っていた.
まあ,脳外科疾患というよりは神経内科疾患.
DTRは正常に見えた.

翌日,専門病院に紹介.
抗GQ1b抗体陽性で,Fisher 症候群と確定診断.
外眼筋麻痺で,GQ1bが豊富に発現している動眼,滑車,外転神経に
GQ1b抗体が障害するため,症状が出るとされている.
脳脊髄液の「蛋白細胞解離」は10-20日がピークになる.
特に2週間以降に出現することが多い.
特にFisher症候群では,1週間以内は蛋白が増加する確率は低い.
しかし,IgG 抗GQ1b抗体は,早期から上昇する.
ということで,
先行感染の種類とは,「インフルエンザ桿菌,キャンピロバクター」
などのGQ1b様構造をもつ病原菌.
その構造に対する抗GQ1b抗体が出来る.
それが,末梢神経へ攻撃を加える.
それが腱反射低下の原因となる.

2週間ぐらいで自然に経過で改善に向かう.
この症例も,自然に改善して終了.

本日の症例2 60才代,小脳,脳幹 視床梗塞

脳卒中の危険因子はいくつもあるが,最近,非常に注目度が上がっているのが,
「男性の一人暮らし」である.
まあ,日本では「孤独死」がようやく,表面にでだしたが,
男性の一人暮らし,単身赴任は脳卒中になる率が高いとされている.

この人も一人暮らしである.
2日前から連絡がとれず,友人が警察に連絡して,
室内で倒れているところを発見され
救急搬送された.

情報は集まって高血圧,脂質異常症,DMなどがある.
その上に,一人暮らし.
喫煙,飲酒の情報はとれないまま.
自宅に入って調べないと情報はとれない.
医学的には,MRAで右VAの著明な狭窄,
diffusion画像では左小脳,左橋,左中脳,左視床の梗塞.
さらには,左中脳には出血もあり.
出血性梗塞になっている.
要は,再開通しているとのこと.

心電図も正常,心房細動もなし.
要は,A to A の脳塞栓であろう.
どうするか.
抗凝固療法は,流れの遅いところにできる血栓ができるのを防ぐ.
抗血小板剤は,流れの速いところにできる血小板血栓の形成を防ぐ.
この人はVAの狭窄部位に血栓ができて,
それが流れて多発の梗塞を来した.
さらには,一部が再開通して出血したものであろう.

動脈硬化による血管壁の狭窄に脱水が加わって,
狭窄部位に血栓ができて,それが飛んだもの.
そうなると抗血小板剤になる.

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