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地域医療研修医のための脳外科病棟カンファ3回目,2018年8月28日

DarkoStojanovic / Pixabay

毎週,毎週,研修医に脳外科患者を提示するのはそれなりに
手間がかかるが,こちらの勉強にもなる.

症例6例目  90才代,胸椎圧迫骨折

長管骨の骨折はレントゲン,CTで非常によくわかる.
高齢者の脊椎椎体の骨折はCTを撮ってもわかりにくいことがある.
それは,すでに骨折を繰り返しており,
椎体がデコボコであること.
陳旧性骨折と新しい骨折が見分けがつきにくい.
骨棘形成からの骨棘骨折,隅角骨折などすでに存在していることが多い.
鑑別点は,骨折部位のedgeがsharpなら今回のもの.
すでに,丸くなっていれば以前のものなど幾つかあるが,
わかりにくいのは仕方がない.

自分は骨挫傷にはMRIと習っている.
撮影方法は,矢状断のSTIR法.
あるいは脂肪抑制のT2WI法(FT-STなどと記載)
椎体は建物のビルみたいなもの.
壁が厚く中身は柱がある.他は空洞,実際は骨髄液があるが.
ビルが上下に押されて崩れたら壁は形は少しは残るが,
中身が壊れる.
骨髄から出血する.要は水分がでる.
要は,出血すなわち水を探して脂肪滴は除ける方法で撮る.
その条件で撮影.新鮮な骨折の部分はhighに写る.
T1では低信号を示す.実際はT1まであまり見ない.
転倒して,痛い部分あたりを中心に撮るとわかる.

どうすればよいか.
鎮痛剤,安静.コルセット作成.
椎体は段々と圧壊していき,治るにつれて固まっていく.
自分の印象では,痛みが取れて歩けて,
退院するまで,2か月近くかかる.
痛みで離床が進まないことが大半.
筋力低下もくるので大変.
また圧壊してしまうと必ず後弯というが前屈というか,
円背は進行する.

症例7例目 60歳代,CP angle tumor

独歩受診.10年前から難聴というかもう聞こえない.
頭を振るとフラフラする.
最初は良性発作性頭位変換性眩暈であろうと思って診察.
右方視時に眼振がある.
MRI撮ると
「不均一なCP angle内実質性腫瘍と嚢胞性腫瘍で脳幹圧迫
+一部は2cm以上の小脳内液体で小脳圧迫.」
腫瘍性病変あり.
その画像をみて,症状をもう一度聞くと,
顔のしびれ,よく舌を咬むなどの症状がある.
顔面神経麻痺はほとんどない.
epidermoid(類表皮嚢腫) やdermoid cyst(類皮嚢腫)なら,
diffusionでhighの部分があるはず.
それがない.
今後の精査が必要だが,自分の経験が豊富なわけではないが,
小脳実質に2cmの嚢胞を作る前庭神経鞘腫も聞いたことが無い.
まだCTも撮れていないので,石灰化があるかどうかも不明.
T2前額断で内耳孔の拡大はない.前庭神経鞘腫とは考えにくい.
三叉神経鞘腫が小脳内まで,ましてや2cm大の嚢胞を作ることも
考えにくい.
ルーチンのMRIでは顔面神経,三叉神経もどこにあるのか分からない.
ということでCISS/FIESTAなどでも撮影+造影MRIが必要.
慢性的に大きくなるにしても,CP angle内に実質があって
小脳内に2.5cmの嚢胞?
を作る腫瘍って何かしらん.
鑑別診断のお勉強でした.
前庭神経鞘腫なら,聴力は無いので気にせず顔面神経を温存して,
上は三叉神経,下は下部脳幹部分まで気をつけて,
出来るだけ切除.
脳幹に接している部分は
おそらく剥離困難であろうから一層残す.
volume reductionなら嚢胞部分を吸引してしまえば,
非常に小さくなる.
その時点で一旦手術をやめて,
後はサイバーナイフをあてれば
15年保証で行きそうに思うが病理組織次第.
ナビを使って,顔面神経刺激装置を使って
全部で8-10時間を予想する.
ABRはすでに出ないように思えるが検査まだ.

そんなところで,3回目は終了.

 

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