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地域医療研修医のための脳外科病棟カンファ5回目,2018年9月11日

DarkoStojanovic / Pixabay

この日はヘロヘロでした.
9月10日(月曜日)に正味9時間25分の手術をした.
おそらく,今の病院で,出来る最大,最長の手術でしょう.
22時には平日別荘(アパートの別称)に帰れた.
朝から,予定外の外来,術後の指示など
あれもこれも大変.

それでも律儀な自分は,火曜日の16時半から「脳外科カンファレンス」をして,
症例を2例提示しました.
研修医の先生は,途中で一人は病棟に呼ばれて,もう一人は風邪引いて,
私の話を聞いて,すぐ早退.
こちらも前日の手術に加えて,
昼すぎには別の急患が入院してきてヘロヘロ.

症例10 70歳代女性 脳脊髄液減少症からの慢性硬膜下血腫

行動異常で受診.
CTをみると,左の大きな慢性硬膜下血腫.
しかしよく見ると,右側に脳挫傷?
両側テント下にも血腫??
くも膜下出血もありそう.
よくわからない画像.
当日に左穿頭洗浄術.
症状は改善.しかし,多発の頭蓋内出血の原因は不明.
転倒などはしてない.外傷なら,かなりの外力がないと
ここまで多発の所見を示さない.
本人は一ヶ月前から頭痛.
右前頭葉に脳挫傷?皮質下出血あり.
・・・・・・・
それは海綿状血管腫あるいは,静脈血管腫などか?
造影MRIをとってみた.
なんと硬膜全周,テントが増強される.
脳脊髄液減少症なら,話はすべてあう.

普通のMRミエログラフィーを撮ってみた.
C1/2から漏出しているような.

さらに自分の開発したCTMRIダブルミエログラフィーをやってみた.
それまでに持続点滴をしていたためか,漏出部位がない.

まあ,また造影MRIを撮ってみる.

症例11 2回目 右聴神経鞘腫

手術直後,
術前のABRは,左右同時刺激で,右1,2波は全くでない.
3波からは右も左もでる.
ABRは,1,2波は末梢神経.3波になると橋の台形体にはいる.
台形体は左右が連絡している.そこからは両側を上行し,
5波は内側膝状体からの電気的活動.
まあ,初期研修医の先生に話しても,まず理解は無理でしょう.
しかし,手術も「安全,安心」に心配りができていないと,
今時のものではない.
手術にあわせて,CUSAは借りられた.一日20万円.
神経刺激装置は,良いモニターは年間4回までは
無料で借りられるらしい.
しかし,もっと早く申し込まないとダメと判明.
デモ器が少ないのであろう.
簡易の刺激装置を購入.
開頭して,最初に副神経(第11神経)脊髄根を直接刺激.
肩か゛動く.
それで,刺激装置は大丈夫と判明.
2.5cm 台の嚢胞は実は血腫のなれの果てと判明.
他にも古い血腫塊は黄色で腫瘍はグレイと見た目は異なっていた.
上方にみえる神経は三叉神経.
いつものことだが,三叉神経は神経束として圧排されていても見える.
顎の咬筋が刺激装置で動く.そこまでは予定通り.
内耳道周辺で,顔面神経を発見.なんと尾側に圧排されていた.
今までの例では全部,術野の上方,後面に圧排されていた.
まあ統計では30%が後方下方と書いてある.
まあ,物理的には顔面神経も残した.
画像上の塊の半分以上が陳旧性の出血の液体,あるいは血腫塊だったので,
予想よりも安心感はあった.
要は,血腫内を吸引,減圧している時は間違いなく,悪いことが起きないから.

まあ,研修医の先生に説明するような内容ではない.

 

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