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研修医のための脳外科カンファ 29回目 2019年3月19日

今日も今日とて,沢山の患者さんがこられて,説明などをしました.
16時半からしようとおもったものの,新しいヒトが入院で
17時45分ぐらいからお話.

本日の症例1 50歳代 モヤモヤ病 症候性てんかん

大きな右脳梗塞,左はSTA-MCA吻合術を受けている.
大きな梗塞は,症候性てんかんの「けいれん源」になる.
昔の手術なら,その後はデパケンを主に内服.
デパケンは全般性けいれんの1st choiceだが,
10年以上の長期的な効果は徐々におちてくるというデータがある.
ということで,一時はイーケプラを追加内服したが易怒性の問題がでて,
エクセグランに変更.その後,小さなけいれんは出ていたらしい.
それで先日,意識消失,全身痙攣で救急搬送された.

デパケンは結構な量をずっと,はじめから内服していた様.
となると,デパケンは全く効いていないと言う解釈になる.
デパケン,エクセグランはなんとなく古い印象.
今の時点で新しくでたフィコンパは,単剤投与はまだ認可されていない.
ということでエクセグランを増量,フィコンパを追加.
デパケンは漸減して中止の方針.あとは,痙攣後の麻痺のリハビリが大事.
薬の調節の問題.
高齢の脳外科医師は,新しい抗てんかん薬には興味が無いので全くわからない.
時代について行けなくなれば,引退しないと患者さんに迷惑がかかると思った症例.

本日の症例2 80歳代 多発脳転移

一般的には,肺癌なら3か月.乳癌なら3年で脳に転移してくると自分は勉強していた.
時々,ものすごい数の多発脳転移のヒトが紹介される.
今回は,肺内転移,他にも転移はあるような.
そしてほかの疾患もあるような方が,脳のMRIでは小脳にも3カ所ぐらい,大脳には左右前後に6カ所ぐらいの1 cm程度の多発脳転移の紹介.ざっとみて9カ所以上はある.
脳にサイバーナイフ,ガンマナイフなどを照射しますかという質問.
古典的な転移性脳腫瘍の手術基準は,「余命,予後半年以上なら何らかの脳の加療をする」が答え.今はどうなのか.
余命10年なら,誰でも頑張って脳の治療もする.
余命3週間なら,誰も脳の治療はせずに静かに見守る.
ということで半年が基準で良いと思う.
ちなみに,ホスピス入所の条件は
(1)本人に告知してある.
(2)余命半年以内.でした.
ということで,内科の医師と相談して,家族にも状況を説明しました.

本日の症例3 80歳代 化膿性脊椎炎 or 化膿性椎間板炎

どちらかわからない.2個の腰椎の椎体が変形,圧壊している.
なぜかというと,本人は転倒していないとのこと.
圧迫骨折が今回起きたのか,知らぬ間に起きてそれに感染したのか.
腰痛と右下肢を動かすと臀部が痛い.
炎症反応高値,白血球高値で,腰椎は椎体が複数圧壊.
造影MRIを撮ってみると,椎体,椎間板が増強される.
Diffusion画像で椎間板に液体がみえる.
血液か膿汁のどちらかである.
と言うことで化膿性椎間板炎と診断して入院.
しかし,肋骨骨折があり左肺に液体がある.
ベッドからおちたのかも.
周囲の軟部組織からの感染かも.
原因の順位は,普通は血行性が一番,次が外傷,外科手術後,
さらには,近くの軟部組織からの直接連続性感染となっている.
ということで,抗生剤を点滴しながら入院.
次はコルセットをつけて,徐々にリハビリ.
しかし,一週間でCRPもWBCも正常化したので,かえって上記の診断が違うような気がしている.通常は,かなり長期間抗生剤が必要.
ガイドラインでは最低6週間とも書いてある.
6-8週間は続けた方が良い.
1週間でCRP, WBCが正常化したが抗生剤の量が少ない場合は,静菌的な状態で
遷延することもあると書いてある.
ここまで行けばもう問題ない,あるいは,膿瘍の手術が必要などは
6週間後に決めると言うのが正しいかも.
80歳半ばなので,6週間,中等量の抗生剤で様子をみる方針.

「脳外科の患者さんですか?」と,疑問に思われるが整形外科も少ない人数で大変なので,点滴だけなら当科で面倒みますという感じ.
早期に中止は危険.

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