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研修医のための脳外科病棟カンファ15回目,2018年11月28日

DarkoStojanovic / Pixabay

11月29日(木)に非常に悪いにニュースが来た.
それは,CUSA(超音波吸引器)の単回貸し出しが来年からなくなるとの回覧が
回ってきた.これで,来年から出来なくなる脳腫瘍の手術が増える.
ただでさえ腫瘍が少ないのに,もう今年いっぱいで終わりであろう.
今後,どうするかなど考えました.
その前に,細々と続く脳外科カンファの症例を.

症例1,40才代,1歳時髄膜炎,その後水頭症でV-P シャント その後の変化

幼少児の髄膜炎の後,水頭症になった人達は,結構居られる.
その後の成長は,人それぞれ.

易怒性が増悪したとのことで相談に.
単純に45年以上前のシャントシステムが入っている.
脳室は非常に大きい.
しかし,水頭症で不穏,傾眠になっても,イライラが増悪することは
あまりない印象.

施設のヒトが,チューブはここにあると教えてくれた.
首のところを押すと,一部がチューブが無い場所がある.
断裂?
レントゲンを撮ってみたが,「写らない」管でした.
半世紀前の管はどんなものか?

ということで,頚椎,胸部,腹部のレントゲンを撮っても,
頚椎の下端あたりから,周囲の石灰化したチューブは写っていない.
とりあえず,患者さんは施設に帰った.

後で,画像をみていると去年,偶然ながら,胸部,腹部のCTを内科で撮っていた.
上から追っかけていくと,胸部の中程前チューブが降りてきているが,
そこからは無い.
そういえば,外来で「シャントの手術後は,なにもしていない.
記録がない」と施設のヒトの発言があった.
今まで,先天性水頭症でシャントした子供さんは,身長が伸びるので,
何回か,コネクターを間に挟んだりして,チューブを伸ばす手術をするのが,
常套手段だった.

要は,「その後,入れ替えした情報はない.」
IQはやや低い程度だが,情動面の変化強いものの,
結論は「停止性水頭症」でした.
まあ,いまからシャントをしても,なにか得られるものはあまりない.
1年前にお腹のCTを撮っていたので,判明しました.

症例2 40才台 モヤモヤ病

もやもや病は,日本に多い.
小児は,多くの症例がありデータも多い.治療法もそれなりに確立している.
大人でも徐々に進行する.
というか,小児(5才)ぐらいで発症するタイプは脳虚血型.
30-40才代で発症するタイプは,出血型が多いとされている.
遺伝子,症状,虚血に対する予防手術などはだいぶ集積していた.
大人になるにつれて,血圧も上がる.起床時頭痛もある.そして出血で発症.
頭痛で受診.MRAで,もやもや病と判明.
しかし,MRIでかくれ脳梗塞もない.
典型的なもや血管が発達.
血圧が数年かけて上がってくる.
抗血小板剤+降圧剤になる.
長年の懸案だった「脳出血で発症したヒトに,吻合術をすることが,再出血予防になるか?」は一定の結果を得ました.
結論は,直接吻合術をしたほうが,再出血率は,してないほうの1/3まで低下させれた.
2001年から2013年でかかった.Japan,Adult,Moyamoya Trialの略で,
JAM・Trial(ジャムトライアルと呼んでいる).
いったいいつ結果がでるのかと思ったが,吻合術をして5年後まで経過を追うために,だいぶ年月が必要だった.
直接のバイパス手術を行わなかった人では32%でその後再出血.
手術を行った人の出血率は12%.
年間の再出血率は手術なしで7.6%、手術ありだと2.7%。
ということで,大人で発症するモヤモヤ病は,出血が多いが,
再出血予防には直接吻合術が,予防効果はあるとわかる.
問題は,段々,成人でも虚血が進行していく症例.
それなら,直接吻合術で良いような気がする.
ということで,フォローアップをしながら,
専門病院にコンタクトをとり続けないといけない.
個人的には,モヤモヤ病の中大脳動脈に直接吻合術をして,
良い結果の思い出が,ほとんどない.
髪の毛より細い中大脳動脈の脳表の枝に1.5 mmの浅側頭動脈をつなげるのは,
本当に大変.

症例3.70歳代,SAHもどきの画像を呈しためまい

minor leakの解釈が問題.
5日前にめまい,頭位変換性めまいできたヒトのMRIが,
ダビデの星,基底槽がFLAIRでhighにみえる.
これは,くも膜下出血(SAH)に見える.
しかし,頭痛も無ければ,何もない.
5日後にCTを撮ってもSAH (-)
minor leakならwash outされていても,おかしくない.
MRAでは動脈瘤はない.
どうしたものか.
これもなんと2013年に脳MRIを撮っていた.
過去のFLAIRでも,なんと基底槽はhighにみえる.
ということで,髄液のスローフォロー(ゆっくりした流れによる増強効果)
静脈などでも写ることがあるが,それと判明.
まあ,過去の写真が役に立った外来でした.

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