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研修医のための脳外科カンファ 49回目 2019年10月1日

10月になって,新しい研修医がまた来ました.
新しい症例も入ってきたので,説明を.
書く時間がなくて,というより靱帯損傷でキーボードを打つのが大変だった.
時間順が違っているが,とりあえずアップしておく.

症例1 70才代 tPAで脳幹出血

他のところで発熱で受診.待合でまっている間に急に脳塞栓となった.
Af(-), 右上下肢麻痺で救急搬送された.左M2の塞栓と判明.
別に,他の危険因子はなかった.この3ヶ月脳梗塞なし.CTでは脳出血もなし.
採血も既往歴も問題なし.
発症から1時間50分でtPA開始.その日の晩には右上肢の巧遅運動も改善.
うまくいった様に思ったが,次に日には,右上下肢の動きが今ひとつ良くない.
翌日のMRI で左M2は見事に再開通.問題は,小さな脳幹出血があること.
あまり聞いたことがない合併症.しかも左側.
出血は,少量なので事なきをえたが,「脳塞栓翌日の脳幹出血」はなかなか経験しない.来院時のMRI では陳旧性の脳幹梗塞がある.しかし以前の基準では禁忌は3か月前までである.
瘢痕性の脳出血ならどんな時期でも,tPAは禁忌である.T2☆でも出血(-)であった.

症例2,80才代 頚髄上部梗塞と下肢血栓症

右に傾くと来院.食事をするとむせる.
右の咽頭反射が低下.挺舌で右に傾く.
画像では,延髄より下,頚髄最上部の小さな穿通枝梗塞.
治療はラクナ梗塞と同様の点滴.
咽頭反射は,のどの奥の舌因神経で感じて,迷走神経で嘔吐する.
まあ,迷走神経,舌下神経の麻痺があるのはわかった.
意外と重症にならず,転院した.

症例3.80才代 亜急性硬膜下血腫

転倒して20日目に受診.CTではまだhighである.
結構な量なのでとりあえず,穿頭洗浄術で,液体成分だけでも排液しないといけない.
教科書的な定義のおさらい.
急性硬膜下血腫は発症から3日以内.急性硬膜下血腫になるのは動脈性の出血
亜急性硬膜下血腫は4日目から21日目,要は3週間以内.
慢性硬膜下血腫は3週間以上経過したもの.出血源はほとんどが静脈由来.
少量の血がにじんで,くも膜下が裂けてと幾つか条件が整わないと慢性硬膜下血腫にはならない.
ということで,亜急性硬膜下血腫は一度,動脈からでて徐々に融解したもの.
結果として溶けかけの半分だけが液体として排液できた.
脳の圧排は取れたので,いったんは退院となった.

慢性硬膜下血腫になれば,被膜が形成される.
時期だけでなくCT上の特徴だけでも時期は大体,推測できる.

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