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研修医のための脳外科カンファ 59回目 2020年2月26日

40歳代 三叉神経痛,epidermoid

右の顎,頬部の触ったら痛いという典型的な三叉神経痛で来院.
画像では,diffusion画像でhighに,様は真っ白に見えるCP angleの塊.
一見してepidermoid(類皮嚢腫)と判明.手術になる.
ポイントは,耳鼻科の真珠腫と同じ物で,何層もの殻になっているので,
中身を95%摘出するのは簡単.しかし,表面の被膜が腫瘍本体なので,それを周囲の三叉神経,脳幹から引きはがすのが一苦労.
良性腫瘍で1年で1 mm大きくなるとか言われている.
中身が播種して無菌性髄膜炎になるなど.手術の時にワッテをまわりに敷いてなど
診断よりも手術が興味深い例.

常勤が2名の時なら,興味深く手術になっていたが,1名では麻酔科も手術場のスタッフも全くやる気がないので,手術もしようがない.

まあ,自分はこの病院に不必要とさらに実感した症例.
この手のことに対して手術の訓練をしてきたのに,それは出来ないとなれば,
「適材適所」の原則に反する.残念な事である.
個人はスピンアウトするであろう.
なんか,「ラストサムライ」とか「ラスト オブ モヒカン」などの映画を思わす.
時代の波に消えて行く運命の人のような感じを受けた症例.

医学的には興味深い.

90歳代 tPA後 遅発性開通 出血性梗塞

発症1時間なのでtPA使用.翌日は基底核の穿通枝の所まで血栓が溶けたが,M2の部分は溶けず.6日後のCTでは一部再開通なのか.梗塞範囲がマダラだが出血なし.
それが,3週間後のMRA(MR脳血管撮影)で完全な再開通.
いわゆる遅発性再開通のパターン,漏出性の出血がある.脳梗塞内なので,
あまり余分な追加の症状増悪はなかった.
年齢が年齢なので,遷延性意識障害に移行しそう.
もう一歩,血栓が溶けてくれたら,予後は変わっていたと思われた.

50歳代 特発性脳脊髄液減少症

典型的な特発性の症例.やせて華奢な女性
2週間の点滴でほとんど改善.
しかし,今ひとつである.
2週間後に,胸椎上部からブラッドパッチ.
これは学生さん,研修医に提示して説明すると喜ばれる.
「髄液の漏れる場所が画像でわかるのですか」などと良く聞かれる.

80歳代 円蓋部髄膜腫 オペ後

これは以前に提示した.
上矢状洞に浸潤して,骨にも浸潤.ツノのように,真ん中の頭皮が盛り上がっていた.
前頭葉にあって,いわゆる傍矢状洞部の髄膜腫.
年齢から,15年保証の手術にしようとなって,正中の上矢状洞部,後方の運動野の前の部分は数mmのみ残存させて手術を終了.骨欠損部にはチタンメッシュでカバー
まあ,問題無く経過している.

70歳代 慢性硬膜下血腫,陳旧性脳梗塞 MRI画像の特徴

これは,学生さん向けの症例.医学部の学生さんが2週間の実習できていたので,症例提示したが,「common case」.
1月初めに転倒.2月初めに他院CTで見つかって,紹介された.左の慢性硬膜下血腫とのことだが,MRI撮ると,脳表に結構なSAHがある.普通に歩いてきたので,
アドナ,五苓散を処方した.
2,3年前に右に右に傾くことがあったとのこと.よく見ると左内包の近くに陳旧性の梗塞がある.慢性硬膜下血腫が吸収されたら,次は脳梗塞再発防止の抗血小板剤が必要.
頚動脈なども調べないといけない.

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