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研修医のための脳外科カンファ 69回目 2020年8月18日

時間が無かったので,簡単に説明

症例1 10歳台 脳挫傷 静脈血管腫

脳の血管奇形には何がありますかというお話.
有名および,重要度の順でいくと,
1)動静脈奇形 (arteriovenous malformation: AVM),
2)海綿状血管腫 (cavernous angioma)
3)静脈性血管腫 (venous angioma: VA)
4)静脈瘤 (varix),
5)毛細血管性血管拡張 (telangiectasia)
となる.
毛細血管拡張症は,MRIでも脳内では見えないことが大半.
静脈瘤もdural AVFなどに合併してでてくる.時にvarixからも出血はするが,元の別の奇形からの問題なので,副次的.
ということで,残りの3個が「脳出血」を起こすので,
脳外科に取っては大事.

今回は,転落して数mmの側頭葉脳挫傷で,嘔吐で受診.
CTではあまり問題なし.
問題は,本人も若いですが,さらにその下の妹さんが特発性?小脳出血で無くなっているので,両親が別のことを心配していること.
話からすると,突然,大出血となって絶命する疾患の鑑別疾患である.
頻度からしたら,血管性病変.特に子供なら先天的なものであろう.
上記の血管奇形は胎児の時の血管形成時期の第何期の異常かで形態異常も決まるというものである.

自分の知る限り,モヤモヤ病などは遺伝子も関与して一族がみななっているなどがあるが,上記のものはほとんど「遺伝的な要因の関与した」論文も見たことがない.

ということで,鎮静して脳MRIを撮る.
T1で脳挫傷とは反対側の基底核に大きな静脈が一本ある.
それで,SWIをthin sliceで撮ってみた.
Susceptibility-weighted imaging (SWI)は「磁化率強調」画像となるが,オキシヘモグロビンの低下した静脈血の部分を描出するのに向いている.要は,脳梗塞初期でもその部分はオキシヘモグロビンが低下しているので,表出は可能だが,静脈路をよく見ることが可能.あるいは陳旧性の血腫も同様に見える.
基底核部分では「カプートメデューサ」のような細い静脈が集まって太い静脈になっている.それが基底核から脳室内の内大脳静脈にかけて流れている.
いわゆる典型的な静脈血管腫でした.
一般的な症状は「頭痛,てんかん」である.脳出血はしにくい.
この子は,小さい頃から頭痛はあったような.

2日も経過すれば,嘔気も消えて,独歩退院.
血管奇形の中では静脈血管腫で良かったような気もする.

症例2 70歳台 脳幹梗塞

炎天下で釣り.連日の釣りの後,発症
熱中症で点滴などをしている.
「橋」梗塞の症状は,
(1)歩行障害
(2)構音障害
の二つに尽きる.
一般的な言い方をすれば,「お酒に酔っ払った様なしゃべり方と歩き方」をする人.
「フラフラ,倒れそうに歩く.モガモガしゃべる」
質問も「お酒は飲んでますか?」
「全く飲んでません.起きたら,フラフラする」

MRIでは,橋の大きな梗塞,
脳底動脈が写っていない.
他の中大脳動脈なども凹凸がある.
要は,脳底動脈の狭窄からの血栓症.
点滴をしても,なかなか改善しない.
2本杖で自宅退院.
ところで,なぜ,大きな橋梗塞でも完全麻痺にならないか.
以前も書いたが,
橋レベルでは横走線維が左右に走っている.
それで錐体路が広がる.
従って,結構な広範囲でも錐体路が全滅することはない.
従って,不全麻痺になる.

それは自分は知っていた.

構音障害は,なぜ起きる?

 

症例3 70歳台 脳梗塞+ 海綿状血管腫

これは以前,提示した物,静脈血管腫と海綿状血管腫は画像上は見え方が違うと説明.

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