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研修医のための脳外科カンファ 81回目  2021年2月16日

DarkoStojanovic / Pixabay

なんか,雑学のような症例提示になっている.

症例1 70才台 脳室ドレナージ後の髄膜炎

大手術をして,転院してきた患者さんが翌日発熱.
気切もしているので,肺炎,膀胱炎もあるだろうが,髄膜炎も否定しておかないと,
その結果の表示でAppearanceというところがあるが,要は「外観」「見た目」であるが
水様透明とか,キサントクロミーとか.
以前から自分も謎だったが,細胞数のところで正常が0-5個とか書いてあるが,
2/3とか,最後に3の文字が常にある.
これは細胞数がμリットルあたり2個という意味.
要は髄液の細胞数を計算するときに,フックスローゼンタールというガラス板に髄液を流してガラスでカバーして,細胞数を数えるが,ガラスに虹様の模様が出たときに,1μlとなる.μリットルは立法メートルで,要は3乗なので,3の数字がついている.
面積は二乗なので,2がついているということ.
別に細胞が2/3個しかないと言う意味ではない.

症例2 30才台 右IC-PC破裂動脈瘤 SAH

若年でのSAH,この症例の特記すべき点は,シルビウス裂のくも膜がopenできなかったこと.これは他の病院で開頭,ネッククリッピングをしたが,クリップ自体は普通にできたようだが,出たSAHのためにうっ血して静脈灌流が障害されて,3日目ぐらいに前頭葉,側頭葉の静脈性の出血を来したこと.それで,外減圧,内減圧の手術になった.
水頭症にもなる可能性もあったが,ある時に血腫が溶けて交通性水頭症には成らなかった.
SAHの後,正常圧交通性水頭症になるのは,10- 15%程度が統計.
内減圧の範囲も小さかったことと右側だったことで,はっきりした後遺症が出ていないので良かった.

症例3 60才台 無症候性脳内微小脳出血

最近の脳ドックは,比較的高齢なヒトが多い.
小さな脳出血,cerebral microbleeds 「CMbs」と訳されている.
今までの解釈では,「海綿状血管腫」あるいは「陳旧性の微小脳出血」と放射線科からの所見もそうであった.
しかし,脳幹に7 mm程度の出血が2個あるとか,脳表の直下にあったりする.
自分の思い込みだったのか,海綿状血管腫などは再出血の率は4-15%/年と幅は広いがいくつかデータはあった.最近は,全くべつのものが出てきた.
それは,アミロイドアンギオパシーによるもの.自分の知識では,高齢者の皮質下出血はアミロイドアンギオシーによるもので大きな出血になるものとばかり思っていた.
それが,いつの間にやら「小さな出血も繰り返している」と判明.
MRIもT2☆だけでなくSWIとか,小さな出血を次から次へと発見出来るようになった.
脳内微小出血の知識も徐々に蓄積,解釈が変わってきていると納得.

症例4 脳ドックでの説明

これは,ここには,記載しない方針.研修医には知識として提示した.
脳ドックに費用を払って説明を聞きに来ている人達に説明している内容なので,
「無料では教えない」方針にしている.そうでないと不公平になる.
それは自分が勉強してきた脳の健康に対する統計を,一般人にもわかるように自分が作り挙げた資料に基づくモノ.

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