脳外研修医カンファ

研修医のための脳外科カンファ 34回目 2019年6月4日

症例1   80才 蘇生後脳症

脳出血後,突然,呼吸が止まった.
心肺蘇生を頑張ってしました.
しかし,呼吸が止まる前は,会話も少しできていたが,
蘇生後は,対光反射,睫毛反射はあるものの,意識は戻らないという典型的な植物状態.
研修医むけなので,対光反射は視神経で感じて,動眼神経で縮瞳する.それがあれば中脳は生きている証拠.
睫毛反射,角膜反射は三叉神経で感じて,顔面神経で目を閉じると説明.三叉神経も顔面神経も神経核は橋にあるので,橋レベルは機能がある証拠.
この症例は,延髄,橋,中脳レベルまでは機能がある.

この日は,医学部の5年生の学生さんが実習に来ていたので,カンファレンスも次いでに聞いてもらっていた.質問したら,結構詳しく知っていました.
そこでもう一つ,「詳しい質問」は嘔吐反射,gag reflexはナニ神経で感じて,ナニ神経で動くのか.のどの奥に指を突っ込んで,オエッと吐く反射はどうか?
答えは「舌因神経」で感じて「迷走神経」で筋肉を動かして胃内容物を出す.
これは,延髄レベルまで.
前日の○見○立大学の学生さんに,授業中に同じ質問しても,全員,全く反応なし.
こちらが「お酒飲みすぎの時,指を突っ込んで嘔吐することはなかったか」聞いても全く反応なし.「飲み過ぎたことないのか?」質問すると,「未成年です」と答えられて,「そういうこと」と判明.
さすがに医学部の5年生になると,「お酒は飲んでますが,反射は・・・」とのこと.

本題は,蘇生後脳症で,ある一定の時期が過ぎた人のMRI所見の話
有名な所見をいくつか.1)皮質髄質領域の不鮮明化.2)脳萎縮,3)基底核,海馬のFLAIRなどのhigh intensity これは微小出血などが原因など,色々いわれている.
低酸素脳症に弱い細胞は,海馬,小脳のプルキンエ細胞,大脳皮質の細胞など.
機能予後が良い症例は,心肺停止時間が15分以内とのこと.
まあ酸欠に耐えられる時間は,大脳皮質は5分,脳幹は20分とのこと.
それが,救命できても植物状態が増える理由.

症例2  90才代  前頭葉皮質下出血

数日前から,様子がおかしい.一時良かったと思ったら,又悪くなったと杖ついて歩行で受診.CTを撮ると右前頭葉の皮質下出血,しかもウズラとニワトリのたまごみたいに2個ある.おそらく,高齢でアミロイドアンギオパシーで一旦,皮質下出血になって,受診日前日あたりにもう一度出血したような印象.
入院して3日目に左上肢の麻痺が増悪.食欲低下.
ここで,学生さんに質問「脳出血の時,一番症状が悪いのはいつですか?」
一般人,専門外の人は「出血した時が一番悪い」と答える.
学生さんも同じ答え.正解は「脳出血後3, 4日目が一番悪い.3,4,5日目が底の状態.脳出血自体から再出血するのではなく,周囲の浮腫が強くなるのが,3日目以降なので,最初は意外と軽くみえるときがある.
この方もCT再検.周囲の浮腫範囲の拡大が原因だった.

症例3   60才代 癌性髄膜炎

肺癌からの癌性髄膜炎.
症状はけいれん重積だが,以外とけいれん重積は症状としては,すくない.
脳溝の増強効果などが少しあるが,あまりはっきりしない.
抗てんかん薬も,紹介元は,超大量の点滴を行っていた.
しかし,地域包括ケア病棟に入るとなれば,内服のほうが安価.

研修医向けなので,金額よりも画像所見などを説明しないと.
内服薬を大量投与しても,けいれんは起きる.
抗痙攣剤は,自分はいつもドルミカムを使っている.
使い方は後日に.

 

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