突然思い出して,また消えることを記録

海のそばのヒトと山の中のヒト

外来で,変わった訴えのヒトがきた.
「九州のN県で海の近くで生活していたときは,体調も快調だった.それが山深い県北に帰ってきたら,元気がなくなった.頭痛などあるし,どうすればよいか」と言う趣旨の訴え.

分からないヒトには分からないが,自分は本当によく分かる.

これは,自分が30歳ぐらいの頃,米国のニューヨーク州の北の方で研究で留学していた.
そこは「内陸」であった.五大湖のほとりという感じ.淡水の大きな海.
半年ぐらいしたら,なんとなく呼吸がしづらいというかなんというか.
学会でロサンゼルスに行った.サンフランシスコ,サンディエゴなどの海岸にいくと呼吸が楽.毎日が楽しい.
桟橋(ピア)で食べたカニのおいしかったこと.
元の場所に戻っての研究生活.
なんとなく楽しくない.
ルームメイトというかシェアしてたインド人は,インドの旧ボンベイ出身.
インド洋のそばで育って,「自分は海のそばが恋しい」などと発言を聞いて,自分もそのように思っていたので,「海のそばで育ってきたヒトは,海のそばのほうが呼吸も楽だし,体調も良い」ということにきがついた.その時,「自分は太平洋のそばで育って,海岸に行くと呼吸が楽だった」と話をしてお互い意気投合した思い出がある.大陸の内陸部は海まで飛行機で6時間とかそんな感じなので,ホントに空気の成分が違う.要は「空気中のヨード,ナトリウムなどが違う」とされている.それらも影響はすると思う.

遙かに時間は経過して2019年,熱海の病院に手術を見学にいった.
海に面した道を歩いていると呼吸がしやすい.そこで海鮮丼を食べて,
やはり,海のそばは自分のふるさとだなあと納得.

米国研究が終わり,帰りに,バハマ,プエルトリコ,フロリダと一人で旅行して帰って来た.海のそばばかりで,ほんとに楽しかった.

「転地療養」という言葉がある.それは都会のゴミゴミした場所から田舎の空気のきれいな場所に移動して,静養するイメージだが,実は「自分が快適だと思う地域に移動」という意味もあると思う.

急に思い出した.日常の忙しい時には,まず思い出さない記憶.
もう,一生思い出さないかも.

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