脳外研修医カンファ

研修医のための脳外科カンファ 21回目 2019年1月22日

予定と異なった症例提示になりました.
1月25日は日本で一番低い気温が記録された日らしい.
旭川?のマイナス41度.富士山山頂の最低気温はマイナス38度とのこと.
要は,1月最後の週と2月最初の週が日本では一番寒い2週間.
朝,岡山市内から通勤途中の山の中はマイナス3度.
自分は,1月末から2月初めは,インフルにならないように,出かけたりせずに,病院の医局でお勉強するようにしている.学会への届け出の締め切りも1月末のものが二つもあるし.

症例1 50歳代 ベーチェット病でTIA 頻発

20代後半に,ベーチェット病と診断されている.
口腔内アフタ,陰部潰瘍など,目,口,皮膚,陰部の4つの場所に典型的病変.
問題は,さらに血管,神経,消化管などに特異的な症状がでること.
しかし,メインは眼症状.
今回は,TIAで,発症.
自分の少ない経験では,神経ベーチェットは脳幹障害のヒトがいた.
今回は,脳MRI ,MRAは正常.
血管系,ベーチェットの場合,大動脈,大静脈ともに障害を受け,動脈瘤,静脈血栓などができる.肺梗塞は重要な合併症.
しかし,脳梗塞はあまり記載がない.
今回の症状はcrescend TIA
頻発するITA.
大血管系に多発の動脈瘤あり.
抗血小板剤,抗凝固剤はあまり効果がない.
必要なものは,ステロイドとインフリキシマブなどの免疫抑制剤.
これらを使用したらTIAが止りますかという質問.
当面の症状が治まれば,大病院に.

症例2 10才代前半 片頭痛

片頭痛は何歳ぐらいが初発ですかという質問.
平均13歳ぐらいの報告が多い.教科書的にはその程度.
症例報告では,6歳,8歳などあり.
11歳なら,どうする.
女児なら起立性低血圧など,他の要素の除外診断が必要.
男の子の場合でも,除外はしないと.
子供の片頭痛の予防薬は,ガイドラインならペリアクチンになる.
量も少量から開始.
子供の場合,頓挫薬は,イミグランなどではない.
通常の鎮痛剤が効く.
自分の心配事は,薬を漸増しないといけないかどうか.

症例3 30才代 交通事故後の胸郭出口症候群

交通事故で,頚椎MRIを撮って異常がなければ,「頚椎捻挫」という病名をつける.
腕が痛い.肩が上がらない.後頚部が痛いなどは,「頚腕症候群」と病名をつける.
それでは,Roos test,Morley test陽性のヒトは?
牽引型の胸郭出口症候群は画像では写らないとされている.
要は,理学的所見でRoos test,Morley testで陽性なら,
胸郭出口症候群と診断して良いとされている.
交通事故後の裁判でも症状があって,この二つのテストが陽性なら,
病名としては認められる.
自分の知識不足だが,前斜角筋症候群と前斜角筋ブロック.
腕神経叢障害と腕神経叢ブロック,とくにエコーガイド下に行うブロックは効果があるが,やり方に関しては全く知見がない.

しかし,追突されたら,全部「頚椎捻挫」しか名前が浮かばない,あるいは,
わからない整形外科,脳外科の医師はものすごく多い.
これは,前の病院でも,その前の病院でも,その前の前の病院でもというか,
どこにいても,未だに全く無視されている疾患である.

自分が,セカンドキャリアでしたいことの一つは,
交通事故後の前斜角筋症候群の癒着をはがす手術をしてみたい.

脳外科の大きな手術は,もうしなくて良いので,役に立つ手技を身につけたい.

 

 

 

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