脳外研修医カンファ

研修医のための脳外科カンファ 36回目 2019年6月20 日

火曜日の16時半から,普段はやっているが,ちょうど会議がはいりできず.
替わりに20(木)に症例説明.

症例1 70才代 小さな症状で発症,多発脳塞栓

口唇周囲のしびれで独歩来院.
MRIでは右小脳の陳旧性梗塞,左被殻の陳旧性出血などあり.
結構,血管は障害を受けている.
diffusion画像では,左基底核,前頭葉皮質下にわずかにhighの部分がみえる.責任病巣は今回はそれであろう.
翌日,確認のためにdiffusion画像3方向を撮ると,はっきりと数個以上の穿通枝梗塞を認めた.原因は多発脳塞栓なのか,血行動態的なものなのか.
頚部血管エコーなど,また色々しらべないと行けないパターン.
今まで,症状がでない.無症候性脳出血,脳梗塞が多発していたが,今回は免れなかった症例.
危険因子の発見,動脈全体の評価など大変.

症例2 80才代 倒れているところを発見,塞栓か血栓か不明症例

おそらく,16時間は倒れていた様な.失語,右下肢麻痺,
さらには右上肢麻痺あり.
画像では左前大脳動脈がA2の途中から途絶.
血管はデコボコなので,アテローム型血栓症によるものか,A to Aで,小さい血栓が流れてきての脳塞栓なのか不明.
神経症状としては,左中大脳動脈は開存しているので,右上肢は動きそうだが痛刺激でも動かない.運動性失語もある.
数日で会話は戻ってきた.
心エコー,頚動脈エコーなどをしながら,血栓,塞栓の両方の治療をしている.

症例3 50才代,頭痛で発症した海綿状血管腫

他院の脳ドックで見つかったと紹介.
単純CTをみると,左前頭葉の前頭極の皮質下に1.2cmの淡い石灰化した円形の病変がある.
単純MRIのT2☆では,真っ黒に見える.要は淡い石灰化した血腫の塊.
造影MRIをみると,内部には血流がはいる.

本人に,聞くと7年前,ものすごく頭が痛いことがあって,鎮痛剤が効かなかった.とのこと.その時,病院受診歴なし.
おそらく,海綿状血管腫がその時出血して,海綿(スポンジ)のように血液を吸収して,また静まったものであろう.
いつでも手術はできるが,出血で発見された海綿状血管腫の年間再出血率は4-7%とか,10%を超えるとか,色々データがある.
それらを説明して,仕事との兼ね合いで手術は本人次第.

 

 

関連記事

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください